Scrum Fest Osaka 2026でワークショップを提供してみた

Scrum Fest Osaka 2026で「決まらない会議を卒業しよう」という90分のワークショップを開きました。準備はDTAをつくるところから。当日はツッコミどころ満載の提案を出す役です。10名の参加者からいただいた反対意見と、届けたかったのに届けにくくしてしまったことを書きました。

Scrum Fest Osaka 2026で「決まらない会議を卒業しよう」という90分のワークショップを開きました。集まってくださったのは10名。

忘れないうちに書いておきたいと思います。

準備は、DTAをつくるところから始まりました

90分の話をする前に、準備の話から始めさせてください。

登壇メンバーは3人。プロポーザルを出すときに集まった、同じ会社の中でも初めての組み合わせでした。採択の連絡が届いて、最初に取り掛かったのは資料づくりでもワークの設計でもありません。システムコーチングを受け、DTAをつくることでした。

DTA(Designed Team Alliance)は、私たちがどんなチームでいたいか、うまくいかなくなったときにどうするかを、あらかじめ言葉にして合意しておくものです。ORSC(組織と関係性のためのシステムコーチング)で使われます。

同じ会社にいるのですから、お互いのことは知っています。それでも、このメンバーで何かを一緒につくるのは初めてでした。知っていることと、一緒に走れることは、別の話です。

セッションの中で、私たちはハイドリームとロードリームを描きました。ハイドリームは、その関係性やできごとに対して一番期待している願い。ロードリームは、想像し得る最悪の恐怖です。

そしてもう一つ、「反対意見を取り扱うワークショップなのだから、自分たちも軽やかに反対しようね。」これを合言葉にしました。

あわせて3人で合意したことがあります。このワークショップを通して、誰を輝かせたいのか。

役割分担というのは、放っておくと得意なことや手が空いている人で決まっていきます。でも「誰を輝かせたいか」が先にあると、判断の順番が変わります。当日の立ち位置も、準備の持ち分も、そこから逆算して決めることができました。これが後々まで効きました。

チームでつくるからこその、大変さ

一人で準備するなら、迷っても自分の中で決めればいい。3人になると、そうはいきません。何を伝えたいのかの温度が少しずつ違います。私たちの場合、コンセント型の意思決定を体験してもらう。そこは最初から一致していましたが、その先のどこまでをワークショップの中で再現するか、という点で意見が割れました。

一つは、反対意見を有効と無効に分類するところまでにする案。結論が出やすい状況を体験してもらえますし、無効な反対意見も出してみることで、周囲にインスピレーションが生まれます。ワークの回数を増やせるぶん、参加者が味わえる体験の数も多くなります。

もう一つは、統合のステップまでやる案。時間はかかります。そのかわり、提案者と反対者が協力して第三の案をつくるところまで届きます。

決め手になったのは、DTAの後に決めたラーニングアウトカムでした。「反対意見は宝物」。この考えをより実現しているのはどちらか。そう問い直したとき、答えは後者でした。

このように、私たちは度々DTAに立ち戻り、確認しました。ハイドリームはどこだったか。今、ロードリームに近づいていないか。

面白かったのは、ロードリームに貼った「当日会場に行けない」が、本当に起こりかけたことです。最悪の恐怖として書いた付箋が、いちばん現実味を帯びました。

本番が近づくにつれて、3人それぞれに体調のトラブルが重なりました。順番に、ひとりずつです。直前まで「みんな参加できるよね?」と確認し合いながら当日を迎えることになってしまいました。付箋を書いた日には、まさか全員に来るとは思いもしませんでした。

ツッコミどころ満載の提案を、出し続ける役をやりました

なんとか3人揃って当日を迎えることができました。

Andreaがワークショップ全体を進める中心。Kensukeがその相方として場を支えます。ふたりはペアファシリテーションのトレーニングを一緒に受けていて、並んで立つと安心感があります。そして私は、ワークの中に入り、ツッコミどころ満載の提案をする提案者の役でした。

チェックイン、ワーク1、ミニレクチャー、ワーク2を2回、学びの収穫、チェックアウト。この順番で90分です。

ワークの舞台設定は、3年9組。文化祭で桃太郎を上演します。目的は「観客が最高に楽しめる演劇で金賞を獲る」。参加者には役割が配られ、私はそこに無理のある提案を持ち込んでいきました。

無茶な提案を、通そうとしてくれた文化祭リーダー

ワーク1では文化祭リーダー役の方が、私の無茶な提案を、なんとか通そうと四苦八苦されていました。役割に「提案を通す」と書いていたので、忠実にそれを再現してくれました。

他の役割の参加者も私の無茶な提案をなんとか阻止しようと必死に反対してくれました。私も自らの提案を通すために、必死に反対意見を否定し続けました。

それぞれの参加者が全力で自分の目的のために参加した結果であり、悪意を持つ人は一人もいませんでした。それでも会議の中で「提案を通すこと」が目的になっていると、反対意見は乗り越えるべき障害物に変わってしまいます。逆に、「提案を阻止すること」が目的になっていると、質問は批判するためのものに変わってしまいます。

8分間の短いワーク1の中で、私たちyamanecoが遭遇したことのある「決まらない会議」のうちの1つを再現できたように思います。

休憩中にみんなでヨガしました

ワーク2でフローチャートへのツッコミが入りました

ワーク1のあとは、ミニレクチャーの時間です。Holacracyの統合的意思決定プロセスを参考に今回のワークショップ用に用意した簡易版のプロセスを、いちばん詳しいAndreaが解説しました。

ワーク2では、反対意見が有効か無効かを判定するための簡易版のフローと簡易版の統合的意思決定プロセスを取り入れて、再度私の無茶な提案を取り扱ってもらいました。

ここで想定外のことが起こりました。

判定フローの書き方が不正確な箇所があり、参加者から次々に指摘が入ります。

「ここはどう解釈すればいいのか。」

「この場合はどちらに進むのか。」

もっともな質問ばかりで、進行しながら補足に補足を重ねることになってしまいました。

反対意見が出やすい提案を出す役として突っ込まれるのは想定内でしたが、これはまったく別の体験でした。

オリジナルのプロセスは情報量が多すぎます。ワークに集中してもらうために簡易版を用意しました。ところが、その簡易版が粗かったせいで、かえって参加者の集中を削いでしまいました。

本当に届けたかったこと

例として置いたプロセスの出来が悪かったせいで、エッセンスを届けにくくしてしまいました。参加者のみなさんの意識は、当然ながら目の前のフローの不備に向かいます。私たちが邪魔をしてしまった、という感覚が残っています。持ち帰ってほしかったのは、簡易版の手順そのものではなく、その一つ手前にある考えです。

自分たちの組織に合うプロセスやフローを設計して、それに任せてみてください。

反対意見が出た瞬間に、どう扱うかをその場の空気で決めない。あらかじめ決めた手順に委ねる。そうすると、反対する側も、される側も、ずいぶん気楽になります。yamanecoで実感してきたのはそこでした。

参加してくださった10名の皆様、90分をお付き合いくださりありがとうございました!あの場で体感してくださったことを、早速今週から取り入れてもらえていたら嬉しいです。

皆様から頂いたあの指摘の一つひとつは、非常に有効な反対意見でした。あの場で少しずつではありますが統合できて良かったです。


ご紹介

▼ワークショップ中にご紹介した意思決定方法5つをご紹介しているブログ記事です。

チームの意思決定方法|迷わないために決めておくこと
「人」、「技術」、「楽しさ」の三要素で「変わる」を届けます。

▼決まらない会議以外にも組織にはモヤモヤの渦がたくさんあります。株式会社キノーフゼンに体験入社して、ありたい姿をクリアにしてみませんか。

コーポレート・シアター
「人」、「技術」、「楽しさ」の三要素で「変わる」を届けます。

▼今回私たちがワークショップの準備で行ったシステムコーチングについて知りたい方はぜひお問い合わせください。

Kasumi Nakano

Kasumi Nakano

Scrum Master / Software Engineer