どんな課題に応えるワークショップか
このワークショップは、スクラムフェス大阪2025のセッションのひとつとして、2025年7月19日に実施しました。参加者10名・100分で行っています。参加者は特定の企業のメンバーではなく、それぞれ別の組織から来た初対面同士でした。
冒頭のアイスブレイクで、参加者自身に「どんな人がこのセッションに来ているか、何を学びたいのか」を書き出してもらいました。出てきた声がこのワークショップが応えようとしていた課題そのものでした。
どんな人に向けたワークショップなのか
- 不毛なミーティングが多いと思っている
- ミーティングに関して不満を感じている
- スクラムのミーティングを短くしたい
- ミーティングのストラクチャーが欲しい
- ファシリテーションは自由なほうがいいと思っている
- 新しいファシリテーションのスタイルを知りたい
このワークショップで何を学べるのか
- 時間を切る方法
- アクションまでいける方法
- ファシリテーションをしたことがない人でもできるということ
- Tensionの処理の仕方
- アンラーン
このワークショップの設計
2つの意図を持って設計しました。
意図① 説明せずに体験させる
座学は概念の最小限に絞りました。
- Holacracyとは何か
- Tensionとは何か
- Tactical Meetingの6ステップ(Check-in Round/Checklist Review/Metrics Review/Project Update/Triage Issues/Closing Round)
- 会議に登場する3つのRole(Facilitator/Secretary/参加者)
Holacracyを知ってもらいたいので本当はもっといろいろ説明したかったのですが、説明はここまで。残りの時間はすべて「やる」に充てました。Tactical Meetingの本質は「議論をしない・事実の共有に集中する」という規律にあり、これは聞くだけでは腑に落ちません。普段なら反射的に出てしまう質問やリアクションを、自分の意志で飲み込む、その身体的な違和感を通してしか伝わらないためです。
意図② 1回で終わらせない
Tactical Meetingは1回やっただけでは「型に戸惑った」で終わります。設計はこうしました。
Tactical Meeting #1 → ふりかえり#1(Tactical Meetingの改善)
↓
休憩 5分
↓
Tactical Meeting #2 → ふりかえり#2(Tactical Meetingの改善)1回目はyamanecoメンバー(Ryo)がFacilitatorを務めるデモ。ふりかえりで「どこがやりにくかったか」を言語化してもらい、2回目は参加者がFacilitatorを引き受けます。
この構造にした理由は、Tactical Meetingそのものが「回して直す」ことを前提としたフォーマットだからです。ワークショップの構造を、教える対象の構造と一致させています。
当日の進行
| パート | 内容 |
|---|---|
| アイスブレイク | 「どんな人が何を学ぶのか?」を付箋で書き出し、投票 |
| 自己紹介 | yamanecoの紹介。2年ほど前からHolacracyを導入・運用していることを明示 |
| 概念説明 | Holacracy/Tension/Tactical Meetingの6ステップ/3つのRole |
| Facilitator演習 | Facilitator Roleの理解と練習 |
| Governance設計 | スクフェス大阪Circleとそのpurpose・Roleを提示 |
| Tactical Meeting #1 | yamanecoメンバーがFacilitator |
| ふりかえり#1 | Tactical Meetingの改善 |
| 休憩 | — |
| Tactical Meeting #2 | 参加者がFacilitator |
| ふりかえり#2 | Tactical Meetingの改善 |
| 学びの収穫 | 3つの問いで持ち帰りを言語化 |
| まとめ・リソース共有 | Holacracy憲章日本語版などの案内 |
題材にしたGovernance
Tactical Meetingを回すには、Circleとそこに属するRoleが必要です。今回は、参加者がその場で属している「スクラムフェス大阪」を題材にしました。
スクフェス大阪Circle – purpose:スクラムフェス大阪に参加する人が最高な学びとつながりを得る
登壇者Role — purpose:価値ある知識とインサイトを参加者に効果的に伝える/セッション内容の準備をしていること、参加者からの質問への回答をしていること
参加者Role — purpose:学びを得る/興味があるセッションを選択していること、ディスカッションやQ&Aへ積極的に参加していること
飲み会行く人Role — purpose:酔う/他の参加者との繋がりを作っていること、新しい人を歓迎する雰囲気を作っていること
現場で起きたこと
1回目:yamanecoメンバーがFacilitatorを務め、参加者はチェックインから軽やかに進行。「飲み会の時間を2倍にする」というプロジェクトが議題に上がり、場が和みました。参加者はその瞬間、実際にスクラムフェス大阪の参加者であり、何人かは登壇者でもある。架空の設定を飲み込む手間がないぶん、Roleとして話すことにすぐ集中できていたように見えました。
2回目:参加者のひとりが手を挙げてFacilitatorを担当。印象的だったのは「やってみないとわからない」という言葉でした。普段の会議なら自然にやってしまう質問やリアクションをぐっと抑え、決まったプロセスを守ることに集中する——その姿は、見ている側にも学びを与えていました。
学びの収穫では、3つの問いで持ち帰りを言語化してもらいました。
- どんな体験でしたか?
- どんな学びがありましたか?
- 今日の学びをどのように使っていきたいですか?
3番目の問いを必ず入れるのは、体験を「面白かった」で終わらせず、明日の行動に接続するためです。
このワークショップが向いているチーム
- 定例会議が長い、あるいは何も決まらないまま終わっている
- スクラムのセレモニーが形骸化している
- ファシリテーター経験者が限られており、特定の人に進行が集中している
- 5〜15名程度のチーム/Circle単位
会議フォーマットの問題ではなく意思決定権限そのものが詰まっている場合は、このワークショップだけでは足りません。Governanceの設計から入る必要があります。
一度、自分たちの会議で試してみませんか
この記事で書いたとおり、単発のワークショップができるのは「型を試す入口」までです。それでも一度チームで体験してみると、自分たちの会議のどこが詰まっているのかは、驚くほどはっきりします。100分あれば実施できます。
会議のフォーマットを変えたいのか、その手前の役割や意思決定のしかたから見直す必要があるのか——そこの見極めからご一緒します。まずは現状を整理するところから、無料相談をご利用ください。
参考リソース
- ワークショップに用いた資料はメディアよりご確認いただけます。
- スクラムフェス大阪2025 公式サイト

- 当セッションの提案ページ(ConfEngine)
- Holacracy憲章 日本語版
- ホラクラシーから学べる効果的なMTGの進め方(yamanecoブログ)

- 当日のレポート


