とあるスクラムチームの立ち上げと育成を支援していたときの出来事です。
数スプリント回してきたころ、そこそこ良い成長が見えてきました。
- チーム全体が自分たちのミッションとプロダクトゴールをしっかり意識しながらスプリント計画を行い、フィードバックを集めようとする姿勢を見せてきた
- 基本的に計画した仕事は完成できる、更に追加の仕事も(割り込みか新たなPBIか)取れるようになってきた
- 決めた改善は必ず実行させている
- 都度ペアを組んだり、共有とラーニングセッションをほぼ毎日行っている
一見、スクラムというフレームワークは順調に浸透していました。。ただ、プロダクト・バックログの整理とステークホルダーとのコミュニケーション(スプリントレビュー以外でも)があまり望ましいとは言えなくて、かなり目立っていました。それはステークホルダーからの不満と心配の声だったり、開発者が方向性が見えなくなったという声だったりしました。
今回のスクラムチームは新米プロダクトオーナーだったので、初期から手厚いサポートが必要だとコーチとして思っていましたし、できるだけ指導を行ってきましたが、期待していたほど改善されず、悩み始めました。
このプロダクトオーナーは一日中、一体何をやっているのだろう?
※ 自分は毎日現場にいた訳でもなく、すべての行動を把握しようとしていた訳でもない。
聞いてみたら、「関係ないMTGいったり、請求書などの雑務が結構自分の方に回されたりしていてあっというまに1日が終わっちゃうんですよ」と。
なんと!専任でプロダクトオーナーに就いたと思ったら隠れ兼任だったのか!
大きな組織なら仕方がないでしょうという諦めスタンスを許さずに立ち向かうのだ!
この事態は自分たちで変えられないかもしれません。
ただ、隠したままでは、何のためにもなりません。
だったら、見せてあげよう!アジャイルになりたいと様々な施策を考えているリーダーの方々に!
組織的な問題を直せないならとことん見える化しよう
プロダクトオーナーとしてどんな責任を果たすべきか、そしてそれに対して実際にどれくらいの時間を費やしているか、計測することにしました。
簡単なTimesheetを用意してプロダクトオーナーに渡しました。
しばらく計測してみたら、事実から以下の観察ができました。
- 雑務は思っていたほど多くないが、無視できるほどでもない
- バックログ整理とリファインメントは圧倒的に足りていない
- 残業時間が目立つ
この活動の割合は理想の割合なのか、自分が成し遂げたいこと、全うしなければならないことがしっかり行動に移っているのか、実際に計測して比べてみればギャップに気づけるきっかけになりました。
そこから自分たちができることがはっきり見えてきました。そいれはプロダクトバックログ管理の投資時間を増やしてプロダクトオーナーにプラクティスを伝授することでした。
ただ、自分たちだけではどうにもできないこともありました。プロダクトオーナーという役割が果たせないほどの雑務時間でした。
考えてみれば、組織的負債なのです。
唯一できることは事実を集めて、ラーニングポイントとして組織に伝えていくこと思っています。
このようなケースはプロダクトオーナーとしても、開発者としても、スクラムマスターとしても、リーダーとしても起こり得ます。
果たしたいことが果たしにくい・果たせない事態が組織というシステムによって作られているものだとすれば、恐れずに立ち向かって、無視できないほど見える化していこう、勇者たちよ!!