あなたのスクラムチームにアジャイルマインドセットはありますか?

あなたのスクラムチームは芯からアジャイルなマインドセットで取り組んでいますか? それとも魂のないゾンビスクラムでしょうか? このブログでは、スクラム実践者にとって忘れてはいけない大事なアジャイルマインドセットについて考えていきます。
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あなたのスクラムチームにアジャイルマインドセットはありますか?
気づいたら目の前に広がる風景がこんな状態になっていませんか🧟🧟‍♂️🧟‍♀️

アジャイルマインドセットを知らないまま導入するスクラムでは何が起きるのか?

スクラムは、アジャイルのマインドセットを実現できるフレームワークです。

アジャイルのマインドセットを目指してなかったり、そもそも知らなかったりする中で実践するスクラムは、プロダクトを使う人たちがどんな価値を求めているのかを考える視点はなく、使われるかわからない機能を世の中に送り出し続けてしまいます。このような状態はゾンビスクラムと呼ばれています。いくつか特徴を挙げてみます。

  • 顧客の価値に関する情報が乏しく、求めている価値が分からないため、言われたとおりに仕事をこなす
  • チームで働いている意識はほぼなく、目の前のタスクを個々人がこなす
  • コミュニケーションが起きないため、信頼関係も育たず、失敗を恐れ挑戦はしない
  • 改善意識はなく、この状態と向き合おうとしない

少し怖がらせてしまったかもしれませんが、このような状態ではせっかくスクラムを実践していても、ほとんど効果はでません(下手すれば以前よりパフォーマンスが低下している可能性も・・・)。

これから始めるけど何をするのか(Howの部分)しか気にしてなかった、始めてみたけどうまくいかない!というチームや組織は、一度このブログを読んだ後、アジャイルマインドセットってどんなものなのかをチームで学び、実践していくことをお勧めします。

「うちのチームはゾンビスクラムに陥ってしまっていないだろうか。。」と不安な方はyamanecoまでご相談ください。

陥っていないかの健康診断と改善に向けた伴走などの提案をさせていただきます。

スクラムが実現しようとしているアジャイルマインドセットとは

では、スクラムが実現しようとしているアジャイルマインドセットとはどのようなものでしょうか?

ことの発端となるものはアジャイルソフトウェア開発宣言と呼ばれる文章です。(まだ読んだ事のない方はこのブログを読んだ後に読んでみてください)

このブログでは、私がいくつかのチームをみて繰り返し説明が必要になった点をシェアしようと思います。これらの点が抜け落ちていると、ただフレームワークをなぞるだけで、形骸化したゾンビスクラムに陥りがちです。お気をつけください🧟

ゾンビスクラムについて詳しく知りたい!と言う方は、ゾンビスクラムサバイバルガイドが2022年に翻訳されていますので、ぜひ!

アジャイルソフトウェア開発宣言の中にも「変化への対応」が出てきます。

計画に従うことよりも変化への対応を

アジャイルでは、その時の状況において最大の顧客価値を届けるために、改善につながる変更には積極的に対応します。変更の必要性は、計画時には見えていなかった新しい価値を見つけた証拠です。

もしかしたら、計画を変更するというのは、「間違いを認める」ような行為だと感じる人がいるかもしれません。計画の変更に慣れていない組織の中で手を挙げて「変更します!」というのは勇気がいりますよね。スクラムの価値の中に「勇気」が含まれているのには理由があるんです。

ここで一つ注意なのが、「計画に従うよりも、ということは計画しなくていい?」というわけではありません。アジャイルソフトウェア開発宣言の最後の一文には、「すなわち、左記のことがらに価値があることを認めながらも、私たちは右記のことがらにより価値をおく。」とあります。「計画に従うことよりも変化への対応を」の一文に当てはめると、「計画に従うことに価値があることを認めながらも、変化への対応に価値をおく」になります。

短く区切ったスプリントと呼ばれる期間(通常1週間から2週間、最大1ヶ月)で、今最も届けたい顧客価値をスプリントゴールと呼ばれる目標として設定し、それを達成するのに必要だと思う内容を、その時に見えている情報をもとに計画します。計画に従うこと自体よりも、顧客価値が高まるのであれば計画を変更していくと言うことです。

顧客満足を最優先とし、求め続ける

アジャイル宣言の背後にある原則の一つ目の原則に、下記のような記述があります。

顧客満足を最優先し、 価値のあるソフトウェアを早く継続的に提供します。

企業活動の場合、ビジネスゴールの達成を目指しているという大前提があると思います。顧客の要求が多岐に渡り、変化の早い市場では、計画するときに顧客価値を把握しておけばいいというわけではなく、常に、顧客に価値を提供し、満足してもらえるにはどうしたらいいか、を考え続ける必要があります。

変化への対応を臨機応変に行うときに軸となってくるのが顧客価値です。顧客価値の優先度が曖昧になってくると、社内政治に巻き込まれ声の大きいステークホルダーの要求に答え続ける開発を進めてしまったり、変化し続ける市場に対応できず、顧客が離れて行ってしまったりと、ビジネスゴールの達成から遠ざかってしまうでしょう。

また、スクラムは、日頃違う専門領域で業務を行うビジネス側の人と開発者が、協働して価値のあるものを顧客に届け続けようとする活動です。この活動の中では常に、届けようとしているのは、<誰の><どんな価値であるのか>をはっきりさせておくことをお勧めします。これにより、ミスコミュニケーションによって無駄な時間を使ったり、変化への対応を避け、必要とされていない価値に時間とお金を割いたりするような状況の発生を抑えることができるでしょう。

改善し続ける

アジャイルソフトウェア開発宣言は、下記の文章から始まります。

私たちは、ソフトウェア開発の実践

あるいは実践を手助けをする活動を通じて、

よりよい開発方法を見つけだそうとしている。

「よりよい」を求め続ける姿勢が、アジャイルマインドセットのコアにあります。

スクラムでは、検査と適用を繰り返して「よりよい」をプロダクトとチームに対して求め続けます。常に変化し続ける、改善し続けるという姿勢が求められるのです。この点をチームで理解していないことで、話し合いの場が形式的になったり、現状維持の意識が強まり学習や新しいことへのチャレンジを避け始めるチームを何度か見てきました。チームで試し、学び続け、持続可能なペースを見つけていけると改善が進み、より価値の高いものを生み出せるチームに近づくことでしょう。

今回のブログでは、わたしがスクラムマスターを担当していたチームや、アジャイルコーチとして支援していたチームで、説明や話し合いの機会の多かったポイントをご紹介しました。

チームによって状況は様々ですので、一概には言えませんが、これからスクラムを始める人や、初めてみたけどなんだかうまく行っていないと感じるチームは、ぜひ上記ポイントの認識がチームの中にあるか、またどのような考えを持っているのかを話し合ってみることをお勧めします。

yamanecoでは、チーム立ち上げの支援はもちろん、始めてみたけど上手くいかないなど、様々な段階のチームや組織の支援を行っております。

ご相談いただければ、お客様に合った支援の形を提案させていただきますので、ぜひお問合せください!

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