
今週の冒険の収穫
今週の「ネコの探検記」では海外で最近炎上中の話題「アジャイルは死んだ」をいくつかの観点で探ってみて、アジャイルの本質に立ち返ってみます。そして、マネージャやリーダーとはなにかについて興味深い記事をピックアップしておきました。
Agile/Scrum
アジャイルマニフェストを再度読み解いてみせよう
記事: Endless Debate About Agile Frameworks
著者: Doug Rabow
アジャイルフレームワークに関する議論は尽きませんが、最も重要なのはフレームワーク自体ではなく、自分たちがどう本質的に実践できるかです。そのためにはアジャイルマニフェストに書かれている原則が大事ですが、それらをどのようにすれば自分たちの現場で行動に移せるのか、容易に答えられないかもしれません。Doug氏はそのチャレンジに挑んで、それぞれの原則に対して具体的な行動例を提案しています。
アジャイルを裁け!
記事: Agile on Trial
著者: Sjoerd Nijland
アジャイルを法廷で裁くという面白い設定でフィクションを描きます。規律が足りてなくて、アカウンタビリティが不明瞭で、長期的な計画性はなく、イベントが多すぎて本来の仕事に集中できないなどの起訴とそれらに対する弁護を語ります。有罪なのか、無罪なのか?その答えは私たち読者に委ねられます!
持続可能なペースの本質的な意味
記事: 持続可能なペースの本質的な意味
著者: Dr. Jeff Sutherland and JJ Sutherland (翻訳:荒本実)
「持続可能なペース」は、成果を出さない言い訳であってはならない!持続可能なペースの概念が多くの現場では誤解されていると訴えて、改めてとの本質的な意味を再度めぐります。
本来は長期的な生産性とイノベーションを確保するために意図したものであったが、現在では説明責任に対する盾として使われている。
Leadership
高リスクの状況における権限委譲
記事: Delegation in High-Stakes Situations
著者: Riccardo Mariti
重大な影響を及ぼす可能性のある意思決定は中々移譲できません。従来マネジメントの考え方なら、その意思決定をさせないことでリスクを回避することが多いです。Riccardo氏はレストランでの具体例を挙げ、現場に明確なアカウンタビリティ、ガイドライン及びトレーニングを渡すことによって、チームの自律性が促進できて問題の早期解決と顧客満足が目指せるアプローチを提唱しています。
マネージャーになったときの大事なこと
記事: Stop Working, You’re a Manager Now
著者: Avi Siegel
マネージャーとして成功するためには、実際の作業から離れ、チームの育成とサポートに集中する必要があります。著者は新米マネージャに対してこれから困難すること、やめるべきこと、始めるべきこと、マインドセットと具体的な行動について語ります。
Fight for your team, so they have the space and motivation to deliver.
プロダクトオーナーの認知バイアス
著者: Sam Bowtell
人間は常にバイアスを抱えています。著者はプロダクトオーナーとしてもっともインパクトされる9つバイスを紹介します。
- バンドワゴン効果:大勢の人が支持している人、物、事象は、そのことによっていっそう支持が大きくなること
- ネガティブバイアス:ポジティブな情報よりも、ネガティブな情報に注意を向けやすく、記憶にも残りやすい性質を持つ
- 生存者バイアス:特定のグループや集団の中で生き残ったものだけを見て、他の要素やデータを無視する
- 確証バイアス:自分の思い込みや仮説を正当化するために、都合のよい情報ばかりに目を向けて物事を判断しようとする心理現象
- 現状維持バイアス:未知のものや変化を受け入れず、現状維持を望む心理作用
- 奇異性効果:通常の出来事よりも奇異な出来事の方がよく覚えている傾向
- 知識の呪い:自分がよく知っていることほど、それについてあまり知らない人の身になることが難しいということ
- 双曲割引:行動経済学の用語で、同じ価値があったとして「今もらえる」より「将来にもらえる」方が価値が低いに思えてしますような現象
- 情報バイアス:曝露やアウトカムを測定する際、情報の取り違いや測定方法が不十分であるために一方向に偏って測定結果がでてしまうこと
今週の書籍
「だから僕たちは、組織を変えていける」があなたの組織を変革するためのスリリングな冒険へと導いてくれます!著者は、組織の中で一人一人がどれだけ重要な役割を果たすかを実例を交えて教えていきます。失敗から学び、成功に向かうための秘訣を探る旅に出て、リーダーシップ、コミュニケーション、チームワークの魔法のスパイスを使って、あなたも組織の変革者になれる方法を手に入れてみてください!


直近の注目イベント



その他、8月のコミュニティイベントをここで紹介しています。
研修のご案内
yamanecoとAgoraXが開発した「アジャイルテスティング研修」は、Scrum Inc. Japanとの共同開催により、2024年9月12-13日(木・金)にパブリック研修として実施されることになりました。

この研修を通じて、アジャイル・テスティングとは何かを理解し、明日から実践に移せる具体的なプラクティスを学ぶことができます。
Day1 | Day2 |
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イントロダクション: • マインドセットのシフト • アジャイルの必要性を理解する |
アジャイルテストのプラクティス(II/II): • 実例仕様(Specification by Example) • 受け入れテスト駆動開発(ATDD) • CI/CDとテスト自動化を使用して、早期に、頻繁に「完成」を達成する • 振る舞い駆動開発(BDD) • ユーザ視点の強いテストにより開発を駆動する方法 • 継続的インテグレーションとテスト自動化 |
アジャイル、スクラムの起源 | AIでテストの有効性を高める |
品質を意識しながら「リリース可能なインクリメント」と「完成の定義」をどう定義するか | アジャイルテストに適した測定指標とは |
アジャイルテストとは | アジャイルテスター&シナリオ演習 |
アジャイルテストのプラクティス(I/II): • ペアテスト • 探索的テスト |
現場の導入に向けた研修まとめ |
詳細及び申込みに関してはScrum Inc. Japanのサイトをアクセスをしてください。
それでは、次回のニュースレターもお楽しみに!