ORJIモデル:自己認識を高めて健全な対話を行うためのコツ

マインドフルネス、好奇心、謙虚さを発展させて心理的安全性を築くためのフレームワーク。
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仕事やプライベートでカッとなる瞬間はあります。相手の意図を確かめずに思い込みと感情に飲まれて望んでもいない悲しい結果を起こしてしまいます。あるいは自分の意図をしっかり考えずにズレた発言をしてしまって、そしてそれが誤解されて防衛的な激しい反応を受けてしまいます。

人間なので、ミスはもちろんあります。自分も相手も捉えている現実にはたくさんのバイアス、偏見、先入観があって狭い理解を基にアクションを起こすことなんて普通にあると思います。

"私たちは思考できることと発言できることしか見えていないのです。"

ただ私たちは同僚であったり、家族であったり、上司・部下であったりするので健全な関係を築きたいはずです。

MITの名誉教授エドガー・H・シャイン博士のORJIモデルは、人の内部思考プロセスをわかりやすく説明してくれています。マインドフルネスを発展させ、より建設的で適切な判断と行動に結びつけるためには非常に役立つフレームワークです。個人として、リーダーとして、チーム一員またはファシリテーターとして、ORJIモデルを使用することで、難しい状況を乗り越えて、より健全で協力的な関係を築くことができます。

エドガー・H・シャイン博士のORJIモデル

Observe(観察)- 意識の力

状況を理解するためには、観察することが基本です。データを収集し、異なる視点を探求し、文脈を完全に理解する時間をかけます。個人的な歪みであろうと、職業上の課題であろうと、オープンな心で観察することで、状況に影響を与える重要な要素を特定できます。

React(反応)- 感情的知性を受け入れる

反応は、観察された情報への感情的な反応を認識し、処理することを意味します。感情は意思決定において重要な役割を果たし、自分の感情を認識することでよりバランスの取れた選択ができるようになります。自己認識し、感情が判断にどのように影響を与えるかを理解することで、状況に対して明確で理性的なアプローチが可能になります。

Judge(判断)- 情報をもとにした評価

観察し、感情的な反応を理解した後、判断の段階に入ります。この段階では収集した情報を評価し、客観的に分析します。判断を曇らせるかもしれないバイアスや偏見に気をつけましょう。包括的な評価により、重要なデータとノイズを区別し、それぞれの意思決定と得られる結果に対する評価が可能になります。

Intervene(介入)- 断固たる行動を起こす

ORJIモデルの最終段階は介入です。ここでは、観察したこと、感情の認識、判断を行動に移します。行動を遅らせることはチャンスを逃すことや状況を悪化させることにつながるため、断固たる決断が重要です。評価に基づいて最も適切な行動を選択し、解決策に向けて一歩を踏み出しましょう。


エドガー・H・シャイン博士は、著作『Humble Inquiry』(問いかける技術)でORJIモデルに加えて、相手に問いかける技術を提唱します。

「対話では思考プロセスに焦点があてられ、自分たちの認識や知覚がいかに過去の経験によって行われているかに注意が払われる。」

問いかけることとは、答えを知らない質問をすること、好奇心と相手に対する興味を持って関係を築く技術だと言えます。この本では、マインドフルネス、好奇心、謙虚さを育てるためのアドバイスと実践的なエクササイズが紹介されていて、普段私たちを妨げる文化的、組織的、心理的な障壁を克服するために役立ちますのでお勧めします。

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