株式会社テレビ東京コミュニケーションズ(TXCOM)

アジャイルコーチングとオフショア開発の事例
株式会社テレビ東京コミュニケーションズ(TXCOM)

アジャイルコーチングで導く、オフショア開発チームとの結束と効果的なデザイン

デザインチームと開発チームとの連携不足は、プロダクト制作において、時に目的を見失う原因となります。
テレビ東京グループは、オフショアを中心としたアプリケーション開発を行なっていましたが、円滑な相互フィードバックがしにくいチーム環境にありました。今回の事例では、yamanecoのアジャイルコーチングとデザイン開発のサポートにより、目的の共有と相互のフィードバックをチームの中心に置くことで、各チームが目的を理解し、ユーザーファーストのデザイン制作が行えるように導くことができました。

オフショア開発チームとのワークショップ

Step.1 : 動画視聴サービスの改善ポイントをあぶり出す

テレビ東京グループは、テレビ東京・BSテレ東で放送した選りすぐりの人気番組を、WEBサイト・スマホアプリサービス「ネットもテレ東」を通じて動画配信しています。

yamanecoのアジャイルコーチと、多国籍メンバーを含むデザイン・開発チーム・プロダクトオーナーが一体となり、「ネットもテレ東」のTVアプリ(Apple TV, Fire TV)のインターフェイスデザインを開発しました。さらにスマホアプリでも利用ユーザーの満足度を高めるため、ホーム画面の改良を行いました。

まずはユーザー実態を知るため、TVアプリを活用しているユーザーへインタビューを実施しました。その結果、ユーザーが動画を探す際「番組のジャンル」と「その時の気分」の2点が重要なポイントだったということがわかりました。
視聴したい番組が決まっているユーザーは、ホーム画面の設計にかかわらず、すぐに検索機能を利用します。
そこで私たちは、TVアプリと同じくスマホアプリの設計においても「その時の気分で番組を選ぶことができること」を念頭に置き、改良に取りかかりました。

このサービスでは、テレビ視聴への貢献・コンテンツの活性化・広告収益獲得を達成するため、動画視聴回数を増やすことが第一の到達目標となります。
視聴回数の増加には、まだ視聴したい番組が決まっていないユーザーを取りこぼさないことが重要と考え、

スマホアプリのホーム画面を

・気分に合わせて番組が選べ
・素早く見たい動画にアクセスできる

といったデザインへと改良するサポートを行いました。

Step.2 : バラバラに動いていた複数のチームを一つにまとめる ​

ホーム画面のデザインを大幅にリニューアルするためには、デザインと開発の同時進行が必要不可欠となります。
yamanecoのアジャイルコーチングにより、バラバラに動きがちだったデザイン・開発チームが、ひとつにまとまった強固なチームへと変化しました。

「以前はデザインチームとのコミュニケーションがほとんどありませんでした」開発担当のThien氏はそう振り返ります。
それまではデザイナーとプロダクトオーナーによるミーティングでUIデザインが決定し、ベトナムのオフショア開発チームのもとに発注が来る、という進め方が主流であったため、開発チームはデザインの意図や目的を詳しく知るチャンスがあまりありませんでした。そしてもちろん、言語や時差の壁も大きく存在していたのです。

そこでyamanecoのコーチチームは、アジャイル開発の手法の一つであるスクラムのフレームワークを実践しながら、デザインスタッフと開発スタッフがフラットに意見交換できるようなチーム作りにとりかかりました。
スクラムのフレームワークは、ただなぞるだけでなく、正しく理解し、実践することが重要です。
今回のチームでは、yamanecoメンバーのコーチングのもと、スプリントイベントを通してチームとして目指すゴールの意識合わせを行い、実験マインドを持ち、チームのあり方の改善を進めました。物事の決定にすべてのプロジェクトメンバーが関われる環境を整え、また、技術的なアプローチについては、開発者とデザイナーがお互いの意見を素早く交換できるプラットフォームを活用し、時差や拠点の差までカバーできるように。
立場にかかわらず、失敗を恐れずにアイデアやインスピレーションを自由に共有することができるチームへと変化していきました。

ホーム画面のリデザインは、2タイプの画面を用意しユーザーの反応を見るA/Bテストを実施。チーム全員がテスト結果をリアルタイムでモニタリングできる環境を実装し、デザインがどんな影響を及ぼしているかについて、全員が結果を共有できるようにしています。

関係者全員が一つの目的(=ユーザーに何を届けるべきか)を共有し、その目的のために仕事を行うことで、ユーザー行動を第一に考えた、より実験的な考え方を身に着けることができました。

私たちのコーチングを受け、プロダクトオーナーの三浦氏は「役割・立場によらずサービス改善のアイデアを出すことができるようになった」と述べています。

BEFORE AFTER

POとデザイナーがUIデザインを決定し、決まったデザインについて開発に発注するという流れ。
開発は、発注されたデザインの目的や意図を詳しくヒアリングする機会があまりなかったため、実装において決定に遅れが生じることも。

チーム全員が相互にアイデアを交換できる場を積極的に設けることで、所属や国、立場を超えたフィードバックが行えるように。

Results : 効果追跡・さらに環境の変化に強いチームへ

「ネットもテレ東」アプリの新しいホーム画面は、すでに一部のユーザー向けにローンチしており、現在A/Bテストにて、新デザインが効果的に機能しているかどうかを検証しているところです。もちろんその結果は素早くチーム全員へと共有され、改善点があればそれにふさわしいアイデアが活発に交換されることでしょう。

顔を合わせての業務が難しい現在においても、強いチームワークが衰えることはありません。プロジェクト開始時から様々な拠点での作業を行なっていたため、容易にフルリモートの業務へと移行することができました。

チームメンバーはそれぞれ、変わらず効果的なデザインを生み出し、新鮮な発想で働き方を更新し続けています。

私たちの強みは、複数の国籍を超えてコラボレーションし、ユーザーと企業のニーズの両方を満たすデザインを提供することです。

「yamanecoメンバーの働き方を見ていると、自分もそのチームに参加したくなってくる。文化の多様性と柔軟性を背景に、一つの方法の提案にとどまらず、プロジェクトのあらゆる側面を探求するのをサポートしてくれます」と、別の開発者であるHan氏はコメントしています。

アプリ改良のサポートはもちろん、yamaneco、Artefact、CodeCompleteは、Apple TV、Fire TV向けの「ネットもテレ東」立ち上げ協力もしてきました。

アジャイルとデザインの力でチームを変革することにご興味のある方は、下記までご連絡ください。