組織やチームを改善する「システムコーチング」

法律事務所のシステムコーチング事例

システムコーチングとは? 

「システム」とは2人以上の目的やアイデンティティーを持った関係性のことを指し、システムコー チングとは、システム自体にアプローチすることで、組織やチームの関係性を改善する手法で す。ソフトウェア開発やアジャイルトレーニングの有無にかかわらず、メンバーの自発性が十分で なかったり、大きな不満はないのになぜかパフォーマンスが出なかったりと、組織の関係性を向 上させたい、という悩みに対し支援を行います。 

システムコーチングについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください→ 「システムコーチングって何ですか?」

今回はとある法律事務所をクライアントとしてシステムコーチングを行いました。インタビューに はクライアントシステムからインタビューに数名参加していただきました。本契約では二人のシス テムコーチが6回約3ヶ月間にわたりコーチングを行いました。システムコーチングを受ける前の 課題感やyamanecoのシステムコーチングを受けて印象的だったこと、チームの変化についてイ ンタビューをしました。 

  • アカリさん(以下アカリ) 
  • サヤカさん(以下サヤカ) 
  • ハルキさん(以下ハルキ) 
  • インタビューアー:小林絵美(以下エミ)yamanecoメンバー 
  • システムコーチ:田中亮(以下リョー)yamanecoメンバー 
  • システムコーチングを受ける前の課題は? 

エミ:まずお聞きしたいのが、コーチングを受ける前にどんなことを期待していたのかということで す。こんなふうに改善すればいいな、チームの課題が明らかになればいいな、ということはありま したか? 

サヤカ:実はコーチングの開始直前にメンバーが減ったこともあり、チームとして痛みの中にいた ような感覚があるんです。自分達の何が悪いんだろう、みたいな。それをチームとして克服した り、プラスに変えたりしていけたらいいなという期待はありました。 

ハルキ:限られた人数の中で関係を作っていくということに対して、まだ手探りだなという課題感は ありましたね。 

エミ:みなさんの仕事で、チームの横のつながりは業務に影響が出るものですか? 

アカリ:そうですね、かなり影響すると思います。例えばチームで意見交換があった時、私は経験 豊富な立場なので、私の意見が正しいねということで収まるケースが多いんです。でも本当は もっとフレッシュな意見や、思いもよらない視点がたくさん出た方が依頼してくださるクライアントさ んのためになると思うんです。正解がない中で、クライアントさんの価値観を大事にしながらみん なでベストを探っていくという作業が理想なので、そういう点でチームの関係性はとても大事で す。

システムコーチングを実際にやってみて、どうでしたか? 

エミ:それでは実際に今回のシステムコーチングを受けてみて、印象に残ったことがあればお伺 いしたいです。 

アカリ:とても感動したのはコーチのリョーさんのシステムコーチングの説明の上手さです。どんな ふうにしたら伝わりやすいか、リョーさんが色々と考えてアレンジしてくださっているのだろうとす ごく感じました。 

サヤカ:確かに、毎回のセッションでやることの意味がすごくわかりやすいなと思っていました。こ のチームにとってどう機能しているのかというのが理解しやすかったですね。 

ハルキ:先ほどお話したように、メンバーが辞めたばかりという状況だったので、その痛みをセッ ションを通じてえぐられてしまうのかなという不安もあったんです。でも、返って癒しの時間・立ち 直る時間になっていったように思えて、驚きというかありがたい発見でした。 

印象に残ったセッション・コーチング中の気づきは? 

エミ:日々の関係性の中で、変化していっているな、と感じたことはありましたか? 

アカリ:直接的な関係性の変化というわけではないかもしれませんが、それぞれのメンバーに特 性があって、それが面白いんだな、ということに改めて気づきました。ランズワーク※というセッ ションを通して、メンバー間で陰と陽や、静と動など、相反する要素が存在していること、その両 方で世界が成り立っているんだなということがわかったんです。そういえば我々の名前も、アカリ・ サヤカ・ハルキでそれぞれ陽っぽい、静っぽいという印象があるし、名は体を表すということなの か、通ずるものがあるなと感じました。私はアカリなので「どんどん行こう!」となりがちですが、サ ヤカさんは「ちょっと冷静に考えましょうよ」とストッパーになってくれることもあります。ハルキさん は私と似ていて「とりあえず行ってきます!」という性格もあって。我々はそういったユニークさを 持ったシステムなんだなということに、改めていいなあと思えたんです。 

※ランズワーク:メンバーそれぞれを一つの国に例え、お互いの国を行き来したり紹介したりする セッション 

サヤカ:私もランズワークが一番印象に残ってるんですが、私の場合は、自分の国って他の二人 に比べてなんてつまらないんだろう!という感想で。実は普段の業務の中でも同じようなことを感 じていて、ちょっとついて行けていないなという気持ちだったのかもしれません。でも、二人から見 ると私の国も結構面白く映っているんだというのが可視化されて、私もいいものかもしれないなと 納得できたんです。私そのものとしてこのチームにいるんだなという気持ちへとシフトしていきまし た。 

エミ:ランズワークは、みなさんの中でもいろんな気持ちが動いたセッションだったんですね。他に も何か印象に残っているものはありますか? 

ハルキ:移動しながら声を出したり、指定された立場からみて声を出すというセッションをやった 時は同じ空間の中で、ただ立場が変わるだけなのになぜこんなに心が揺さぶられるんだろう?と いう気持ちになりました。自分にない一面、明るい部分だけでなく、少し黒い部分も自分にあるん だなという意外性が見えました。 

システムコーチングが終わったあとの変化や効果は?

エミ:ありがとうございました。みなさんそれぞれ、始める前には期待値を持っていたと思います が、全6回のセッションを終えてその期待値には到達したのでしょうか? 

アカリ:劇的にすごく変わったというところまでは感じていないのですが、確実に何か変化はあっ たのかなとは思っています。 

サヤカ:私は最後の方では少し辛いなと感じる部分があって、それをみんなで乗り越えたのが良 かったのかなと思っています。 

ハルキ:チームとしては閉鎖的だったところがすごくオープンになってきてるという変化は感じてい ます。私自身で言えば、仕事だからといってやっていた姿勢、もちろんイヤイヤとかではなく好き だからやっているんですが、ただ仕事するというよりはこのチームの中でどうバランスをとってい こうとか、どんな役目でいるべきかなというのを考えたり、大事にしたりという意識が芽生えてきま した。 

エミ:システムコーチングを経て、ご自身の中で変わったな、と思うことはありますか? 

アカリ:私は二人の意見をもっと聞きたいという思いがあったんですが、それはあまり人を支配し たくないなという思いとイコールでもあったんです。ワンマン社長みたいになりたくないなという気 持ちが強くて。でも今は、支配とは違う形で、リーダーとしてメンバーや組織に対して「こっちへ行 こう」と進むべき方向を指し示す存在としてあってもいいんじゃないかと感じられるようになりまし 

た。 

サヤカ:個人的に一番辛かったのが、反対意見を言わなくてはいけないプレッシャーを感じてい て、そんな自分にネガティブさを抱きながらチームにいたということなんです。ただ、それを言えな い自分は、べつに劣ってるわけではないとチームに受け入れてもらえたあとは、自然と意見が言 えるようになって、なんだか逆説的なことが起こっているなと感じています。 

ハルキ:ここにいる二人に対しても、組織に対しても、愛着が出てきたというのを感じますね。 

エミ:少し難しいかもしれませんが、コーチングを終えた自分から、コーチングを受ける前の自分 に声をかけるなら、どんな声をかけますか? 

アカリ:「必要なことが起こるよ。」 

ハルキ:「受けて良かったね。」 

サヤカ:「そのままでいいんじゃない。」 

エミ:それぞれ、みなさんらしい言葉が出てきて素敵です。最後に、こんな組織や会社にシステム コーチングを勧めたい、こんな利点がある、ということがあればシェアしていただけますか。 

サヤカ:このチームは、普段から密な関わりを持ってチームづくりをしているという面もあるんです が、普通の企業さんだと、本音で話す文化が少ないといった表面的な人間関係に留まっているこ とも多いですよね、もしそういうチームがシステムコーチングを受けたら、劇的な変化があるん じゃないかなと思います。 

エピローグ: システムコーチへのアザーサイドインタビュー

システムコーチングを受けたクライアントのインタビューのあと、コーチであるリョーへインタビュー を行いました。 

エミ:お三方へのインタビューでは、劇的な変化はまだ感じていないとお話しされていましたが、シ ステムコーチングの特性としてもドラスティックに変化が望めるものではないんでしょうか? 

リョー:もちろん、対象の組織にもよるのですが、コーチング期間にドリーミングの現実レベルに なったとしても、また日常に戻った時に反映されにくいといったことはよくあるんです。姿勢矯正に 例えると、たまに整体に行くだけで次の日からすぐに姿勢がよくなるわけではない、日々の積み 重ねが大事ですよね。 

エミ:このインタビューの後にフォローアップセッションを行なったとのことでしたが、そちらでの感 触はいかがでしたか? 

リョー:フォローアップセッションでは、コーチングセッションの最後にクライアントが定めたアクショ ンアイテムに対し、達成度合いを中心に話を進めていくのですが、最初はややネガティブな感じ をクライアントシステムから受けました。だから、まあそういうこともあるか、という気持ちで話を聞 いていたのですが、よくよく聞いてみると全く違った。アクションの達成という意味では確かにネガ ティブだったのですが、そこに至るまで、ものすごい数の試行を重ねていたんです。その作業の 進め方も、これまでのシステムと全く違うアプローチができているな、と私は感じました。システム 内で固着していたかもしれない役割が交換されて主導権が変わっているなど、チームが一体と なって一つの課題に取り組んでいこうという姿勢が見られました。 

エミ:正直にいうと、インタビュー時にお聞きした話からはそこまでの変化を感じ取れていません でした。 

リョー:私から見ても、このシステムはかなりすごいことをやってのけているのですが、自分達で は全然できていないと思ったり、またチームに起こっている変化に対してすごく変わったぞ!と捉 えられていなかったりということがあります。このようにシステム自身を客観的に評価できないと いうことはよく起きますし、だからこそ、そういった変化を認知することがシステムコーチングの強 みなのではないでしょうか。システムコーチングは、それ自体で課題解決ができるという手段では ありません。けれど、問題が起こっていないのになぜかパフォーマンスが悪い、あるいは、問題が あるはずなのに解決へと動けていない、そんな明確に対処できない組織のモヤモヤをほぐして、 いつの間にか、本人たちも気づかないうちにスルッと動けるように変容している。そんな後押しを 行えるものだと考えます。 

チームの現状や課題によって、システムコーチングの方法や効果はさまざまです。yamanecoで は豊富なネットワークにより、組織のニーズに適したプロフェッショナルによるチーム体制でシス テムコーチングを行います。ぜひyamanecoへご相談ください。